昨年は病気などで欠勤することが多く、出勤率が8割に満たずに年次有給休暇付与の要件を満たせなかった従業員がおり、この従業員が、今年は出勤率を満たすことができそうなのだが、このような場合には年次有給休暇の付与日数はどうなるのか。
年次有給休暇は、継続勤務年数に応じて付与日数が定められており、この継続勤務とは実質的な労働契約の存続(在籍)期間をいいます。
出勤率を満たさず年次有給休暇が付与されなかった期間も労働契約は継続しているため、継続勤務年数に通算して、その全体の年数に応じた年次有給休暇日数を付与しなければなりません。
<POINT1.年次有給休暇の付与要件である継続勤務>
年次有給休暇の付与要件のひとつに「継続勤務」があり、最初に雇入れの日から6か月間の継続勤務、次に1年6か月以上の継続勤務が要件とされており、付与日数はその継続勤務年数に応じて定められています。
なお、「継続勤務」は労働契約の存続期間、すなわち在籍期間をいい、同一の使用者と実質的に労働契約が継続している定年退職後の再雇用、在籍型出向、長期休職などは継続勤務として取り扱います。
継続勤務については単に形式的にのみ判断すべきものではなく、勤務の実態に即し実質的に判断すべきものと解されています。
<POINT2.年次有給休暇が付与されなかった年の翌年の付与日数の取扱い>
上記のとおり、年次有給休暇の付与日数は単に継続勤務年数に応じて定められていますが、当該1年間の出勤率が全労働日の8割に満たない者に対しては次の1年間有給休暇を与えることを要しないとされていますので、出勤率が8割未満となった年の翌年(度)は、継続勤続年数が何年あろうが、有給休暇は付与されません。
そして、お題の場合のように、今年の年次有給休暇の付与日数がゼロであっても出勤率が8割以上になれば、来年は年次有給休暇が付与されることになり、その日数は、それまでの継続勤務年数に応じた日数となります。
つまり、年次有給休暇が付与されなかった年も、在籍していれば継続勤務年数に通算され、その全体の年数に応じた日数を付与しなければなりません。
※当記事作成日時点での法令に基づく内容となっております※
《参考となる法令・通達など》
- 労基法39条
- 昭63.3.14基発150・婦発47