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■交替制の休日の与え方

 自動車メーカーである当社は、先頃発表した自動車が爆発的にヒットし、生産が受注に追いつかないという喜ばしい状況にいたり、工場では3交替勤務による24時間操業を行うことになった。

 この場合、どのように休日を設定すればよいのかわからない。くわしく説明していただきたい。

 労働基準法第35条の休日は、原則として暦日で与えなければなりませんが、お題のような、3交替連続作業等については、一定の条件の下に例外が認められています

<POINT1.休日の意義>

 労働基準法第35条第1項は、休日を、毎週少なくとも1回与えるべきことを定めています(週休制の原則)。

 ここにいう「週」の意義は、労働基準法第32条の場合の週と同義に解され、「日曜日から土曜日」、「木曜日から水曜日」のようにその事業場ごとに就業規則等により定められた期間をいいますが、特別の定めのない場合は、日曜日から土曜日までの暦週を意味するものと考えられます。

 休日の意義については、暦日24時間すなわち午前零時から24時間までをいうのか、それとも単に継続24時間をいうのかの問題があります。通常の日勤勤務の場合については、いずれに解しても問題を生じませんが、交替勤務その他午前零時をまたがる勤務の場合、問題があります。この点については、行政通達では、午前零時から午後12時までの暦日原則を明らかにしています。

 行政通達では、「休日とは単に連続24時間の休業であるか、或は暦日を指し午前零時から午後12時までの休業と解すべきか。」という問いに対して、「見解後段の通り。」としています。

 

<POINT2.交替制の場合>

 たとえば、午前8時から翌日の午前8時までの労働と、同じく午前8時から翌日の午前8時までの非番とを繰り返す一昼夜交替勤務の場合にも、暦日休日制の原則が適用され、非番の継続24時間は休日と認めず、したがって、図1のごとくさらに非番日の翌日に休日を与えなければ、本条の休日を与えたことにはなりません。この場合、第5日目の午前零時から継続した24時間が休日となります。

 この事例では、非番は24時間ありますが、これを休日と認めたのでは労働者の休息確保に欠けるところがあるからです。

 しかしながら、この暦日原則によると、不都合が生ずる場合があることから、特定の勤務については、次のとおり例外的な取扱いを認めています。

 

<POINT3.交替連続作業>

 8時間3交替連続作業のような場合において休日暦日制の解釈をとることは、連続24時間以上の休息が2暦日にまたがる際は1週2暦日の休日を与えなければならないこととなり(図2参照)、その結果は週休制をとった立法の趣旨に合致しないこととなります。

 

 そこで、番方編成による交替制における「休日」については、次のいずれにも該当するときに限り、継続24時間を与えれば差し支えないものとして取り扱われます。

  1. 番方編成による交替制によることが就業規則等により定められており、制度として運用されていること。
  2. 各番方の交替が規則的に定められているものであって、勤務割表等によりその都度設定されるものではないこと。

 

<POINT4.年間休日日数の現状>

 中央労働委員会「令和4年賃金事情等総合調査」によれば、調査産業計の年間休日日数は

  1. 交替なき勤務:121.2日
  2. 2交替勤務 :127.3日
  3. 3交替勤務 :114.7日

 

となっています。

※当記事作成日時点での法令に基づく内容となっております※


《参考となる法令・通達など》

  • 労基法35条
  • 昭23.4.5基発535
  • 昭63.3.14基発150婦発47