当社では、研究開発部門にフレックスタイム制を導入しているが、製品を納入する際、顧客からの要請で開発担当者を立ち合わせることがある。
その場合、納入の時間がコアタイム(午前10時から午後3時)を超えるようなときでも、開発担当者に立会いを命じることはできるのか。
フレックスタイム制の最大の特徴は、コアタイムを除いて労働者が自由に勤務の時間を選択できる、ことです。
したがって、コアタイム以外の勤務を強制することは、フレックスタイム制の趣旨に反します。
このような場合には強制ではなく、業務の重要性をよく説明し、自発的に勤務してもらうこととなります。
<POINT1.フレックスタイム制の労働時間>
フレックスタイム制は、労働時間を毎日清算せず、特に始業と終業の時刻を労働者が自由に決定できるシステムです。そして1か月以内の清算期間を設定し、清算期間における予定の労働時間と実際の労働時間との清算を行います。
フレックスタイム制の導入には、就業規則に内容を明記し、労使協定の締結が要件となります。
フレックスタイム制では、労働者に与えられた業務の遂行と労働者個人の生活を調和させることを目的とし、労働者が自由に労働時間を選択できることによりその目的を達成しようとするものです。
<POINT2.フレックスタイム制におけるコアタイム>
フレックスタイム制におけるコアタイムとは、労働者が必ず勤務しなければならない時間帯のことです。コアタイムの設定がないこともありますが、一般的には4~6時間程度のコアタイムを設定し、この前後の範囲で労働者が始業および終業の時刻を選択することになります。
原則として、コアタイム以外の労働時間は、労働者が自由に選択できることがフレックスタイム制の特徴ですから、コアタイム以外の時間帯での強制的な職務命令はできないこととなります。
しかしながら、会社において、コアタイム以外の時間帯に顧客の要請や、会議、出張などの業務が発生することも考えられます。
このような場合には、労働者に業務の臨時性や重要性を説明し、強制にならない範囲で協力を求めることになります。
また、必ず勤務しなければならない時間帯がコアタイムであり、出勤可能な時間をフレキシブルタイムといいます。当然にコアタイムより広い範囲で設定され、フレキシブルタイム範囲内で労働者は、始業、終業の時刻を選択します。
<POINT3.フレックスタイム制での労働時間把握>
フレックスタイム制においても、使用者には労働時間の把握義務があります。
清算期間内における実際の労働時間が法定の労働時間より過剰だった場合には、時間外労働に対する割増賃金の支給も発生します。
清算期間内の実際の労働時間が予定された労働時間に不足していた場合には、法定の労働時間の枠内において未達の労働時間を次の清算期間の総労働時間に充当するなどの取り決めも必要となります。
※当記事作成日時点での法令に基づく内容となっております※
《参考となる法令・通達など》
- 労基法32条の3
- 昭63.1.1基発1・婦発1