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■フレックスタイム制導入にあたり、初めに特に気をつけること。

 自社にフレックスタイム制を採り入れることを検討し、いろいろと準備をすすめているが、実際、どのような点に注意すべきなのかよくわからない。

 そこで、1か月の労働時間の決め方、個々人の実労働時間の把握の仕方や年次有給休暇の取扱いについて確認したい。

 清算期間の総労働時間は、清算期間を平均して1週間の労働時間が法定労働時間を超えない範囲で定めることが必要です。

 また、個々人の労働時間の把握は使用者に義務があります。

 年次有給休暇については、労使協定で規定する「標準となる1日の労働時間」を賃金支払の基準としています。

<POINT1.1か月の労働時間の決め方>

 フレックスタイム制では、原則的(1か月単位)変形労働時間制の場合の変形期間にあたるものを清算期間といいます。

 

 清算期間の総労働時間は、清算期間を平均し、1週間の労働時間が法定時間を超えない範囲で定めなければなりません。すなわち、次の計算により求められる時間以内で定めることとなります。

 40(時間)×清算期間の暦日数/7(日)=総労働時間

 

 なお、清算期間が1か月を超え3か月以内の場合は、次の計算により求められる時間以内で定められることとなります。

 50(時間)×清算期間を1か月ごとに区分した期間における暦日数/7(日) =総労働時間

 

 

<POINT2.実労働時間の把握の仕方>

 フレックスタイム制では、始業時刻、終業時刻を労働者の決定にゆだねていますが、労働時間の把握については使用者にその義務があります。

 

 したがって、使用者は、勤務表に当日の始業時刻、終業時刻を記載させるなど各労働者の各日の実労働時間をきちんと把握できる方法を講じておく必要があります。

 

 なお、休憩は、一斉休憩が必要な場合には、コアタイム中に一斉休憩をとり入れるのが原則であり、行政指導もそのようになされています。

 

 また、一斉休憩が必要ない事業において休憩時間をとる時間帯を労働者にゆだねる場合には、各日の休憩時間の長さを定め、休憩をとる時間帯は労働者にゆだねる旨を就業規則に定めておけばよいことになっています。

 

 

<POINT3.年次有給休暇の取扱い>

 フレックスタイム制の下で、年次有給休暇を取得した場合に、労働時間をどのように計算するのかという問題があります。これは、労使協定により規定する「標準となる1日の労働時間」を年次有給休暇取得者の賃金の支払の算定基礎とすることとしています。

※当記事作成日時点での法令に基づく内容となっております※


《参考となる法令・通達など》

  • 労基法32条、32条の3
  • 昭63.1.1基発1・婦発1
  • 昭63.3.14基発150・婦発47