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■会社が独自に導入している、利用実績が乏しい休暇制度の廃止について

 当社では、従業員の誕生日にバースデー休暇を、結婚記念日等にアニバーサリー休暇を付与してきた。

 しかし、最近ではこれを利用する従業員が殆どいなくなってしまったことから、これらの休暇制度を廃止したいと考えている。

 従業員にとっては不利益変更になってしまうと考えられるが、この場合、一方的に廃止できるのか、どのような手続や措置を行うべきか?

 利用実績の少ない休暇制度の廃止とはいえ、従業員にとっては不利益な労働条件の変更にあたるため、その不利益の程度等を勘案したうえでの代替措置の実施と労働組合等との交渉が必要と考えます。

POINT1.労働条件の変更手続

 労働条件を変更する場合は、次の3つの方法があります。

  1. 個別の合意
  2. 労働協約の変更による方法
  3. 就業規則の変更による方法

 1.のように、変更内容について、個別に労働者の合意が得られれば変更後の内容がその労働者との関係では労働条件として有効となります。

 2.については、変更後の内容で労使協定を締結すれば、組合員との間では締結された労働協約の内容が適用されることになります。非組合員との間では、原則として労働協約の適用はありませんが、例外として1つの事業所に常時使用されている同種の労働者の4分の3以上の労働者に1つの労働協約が適用されるに至ったときは、非組合員にも労働協約の内容が適用されることになります。

 3.の方法による場合、労働条件の変更の必要性、労働者の受ける不利益の程度、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況等就業規則変更にかかる事情に照らして合理的なものであるといえるか否かにより判断するものとされています。

 

 

PIONT2.休日と休暇

 就業規則等で定められた「休日」は、労働契約上初めから労働義務が免除された日であるため、年間所定労働日数には含まれません

 一方、「休暇」は、就業規則等に定められた一定の条件を満たし、かつ手続を経ることで労働義務が免除されることになりますので、初めから労働義務が免除されているわけではありません

 

 

PIONT3.不利益の程度等の事情

 今回の「Q」のケースの場合、休日日数の削減ではなく休暇日数の削減にあたるので、ただちに労働日数や労働時間の増加につながるわけではありません

 また、これらの休暇を取得する従業員がほとんどいなかったということからも不利益の程度は小さいようにも考えられます。

 しかしながら、休暇制度を廃止する必要性は高いといいきれるのか・・・。

 労働条件の変更の合理性が認められにくいとすれば、これら休暇制度の廃止においては、一層、代替となる労働条件の改善措置の実施と労働組合等との労働条件変更についての賛成意見の取得に向けた交渉等が必要と考えられます。

※当記事作成日時点での法令に基づく内容となっております※

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≪参考となる法令・通達など≫

□労基法35条、

□労基則19条

□労契法8条~10条、17条