土曜日と日曜日を休日とする週休2日制を採用している会社をよく目にするが、例えば、特に、金曜日は取引先との関係などから業務が集中することが多いため、一度に複数の従業員に休まれると業務に支障をきたすおそれがある場合、金曜日の年次有給休暇を取得できる人数をあらかじめ制限する制度を導入することは不可能なのだろうか。
年次有給休暇の取得日については、労働者が取得の時季を指定できることをいいます。
その時季が業務の正常な運営を妨げるなどの事情があるときには、使用者は取得時季を変更できることになっています。
しかし、単に金曜日の取得を制限することは問題があると考えるが、時季変更権を行使する合理的な人数制限基準を設定したうえで、すべての労働者に公平に適用される制度であれば、取得制限も有効と考えます。
<POINT1.年次有給休暇の権利>
年次有給休暇を取得する権利は、継続した在籍日数などから当然に発生し、労働者が有する休暇日数の範囲で、具体的な休暇の始期と終期を特定して時季の指定をしたときには、使用者が時季変更権を行使しない限り、成立することとなります。
また、有給休暇をどのように利用するかは労働者の自由であり、ここでいう、使用者の有する時季変更権は、「事業の正常な運営を妨げる場合」に限られます。
<PIONT2.年次有給休暇と曜日>
使用者の有する時季変更権の行使については、事業の正常な運営を妨げる場合に限られるのであれば、単に金曜日や月曜日について取得制限ができるものではなく、どの曜日についても、合理的な人数制限などを実施し、一定の人数をこえる場合には、時季変更権を行使するなどの措置が必要となります。
また、 その際には、取得の理由についても公平に優先順位の判定がされることが望まれます。
<PIONT3.年次有給休暇の利用目的>
本来、年次有給休暇の利用目的は、労働者の自由です。
したがって、年次有給休暇の取得を申し出た者から、都度その理由を聴取することは違法性がある(有給取得の阻害につながる)と考えます。
しかし、使用者の時季変更権の行使による場合には、一定の人数をこえた者の中から取得させることが妥当と思われる者を選定する必要があることから、その利用目的を聴取することは違法ではないと考えます。
但し、適正な基準を設けられていることが前提であると考えます。
※当記事作成日時点での法令に基づく内容となっております※
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《参考となる法令・通達など》
□労基法39条
□昭48.3.6基発110
□昭23.7.27基収2622