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■転勤した場合の労働時間の扱いの確認

 従業員が転勤する場合、時間外労働の限度時間や特別条項による延長時間の上限、また時間外労働と休日労働の合計の木製はどのように扱われるのか?

 従業員が転勤した場合、三六協定における時間外労働の限度時間および特別条項による延長時間の上限は、三六協定の内容を規制するものであるので、当該従業員の時間外労働時間数は通算されない。

 一方、時間外労働と休日労働の合計時間の規制は、労働者個人の実労働時間の規制であるので、当該社員の労働時間は通算して適用される。

<POINT1.三六協定の限度時間>

 三六協定における時間外労働の上限(限度時間)は、原則として月45時間、年360時間(対象期間が3か月を超える1年単位の変形労働時間制における上限は月42時間1年320時間)とされている。

 臨時的な特別の事情があって特別条項を設けて労使が協定する場合は、この限度時間を超えることができますが、時間外労働が年720時間以内、時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満の範囲で労使協定を締結しなければなりません。

 

<PIONT2.実労働時間の上限>

 三六協定により時間外・休日労働をさせる場合には、上記の特別条項の有無にかかわらず、時間外労働と休日労働の合計を月100時間未満にし、時間外労働と休日労働の合計について、「2か月平均」、「3か月平均」、「4か月平均」、「5か月平均」、「6か月平均」を全て1月あたり平均80時間以内にしなければなりません。

 

<PIONT3.労働者が転勤した場合>

 労働者が同一企業内のA事業場からB事業場へ転勤した場合、三六協定の限度時間(原則月45時間・360時間)および特別条項を設ける場合の延長時間の上限(720時間)については、事業場における三六協定の内容を規制するものであるので、両事業場における当該労働者の時間外労働時間数は通算されない。

 これに対し、実労働時間の上限(時間外・休日労働合計月100時間未満・複数月平均80時間以内)については、労働者個人の実労働時間を規制するものであるので、特定の労働者が転勤した場合は、労働基準法第38条第1項の規定により労働時間は通算して適用される。

※当記事作成日時点での法令に基づく内容となっております※

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≪参考となる法令・通達など≫

□労基法36条

□労基法38条

□平30.12.28基発1228第15「改正労働基準法に関するQ&A」(平31.4厚生労働省)