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■使用者は自由に配転・転勤を命じることができるか

 新しく入社する者には様々な職種を経験させて、オールマイティーな人材を育成していきたいと考えている。

 そのため、配転や転勤を頻繁に行うことになると思いますが、会社の都合だけで配転や転勤を命じてもいいのか。

 また、配転や転勤を円滑に行うためには、どのような点に注意すればよいか。

 幅広い人材の育成には、配置転換(配転)や転勤は欠かせない手法であります。

 

 そして一般に、就業規則に規定をしておけば、会社は配置転換を行い得ると考えられております。

 

 しかし、就業規則の規定さえしてあれば、「何時」、「如何なる場合」であっても自由に配置転換ができるというわけではありません。状況によって合理的な制限が加えられることとなります。

 

 以下、判例を参考としながら、配置転換の考え方やメリット、円滑な配置転換を行う場合に必要な事柄、留意事項等について順次ご説明します。

<POINT1.配置転換の目的・効果と形態>

 会社は、できるだけ少ない人数でできるだけ多くの利益をあげることを理想として追及しているものと考えられます。そのための方策として人材のオールマイティー化(多能化)は有効な方法と考えられ、とりわけ、今後、労働力人口が減少し人材の確保が困難になることが予想される中にあっては、多能化はより重要視されます。そして、適切な配置転換はそのために有効な方法と考えられています。

 配置転換は、現在、全企業の約4割程で行われており、1,000人以上規模ではほぼすべての企業で実施されています。このように広範に行われているのは、配置転換が持つ次のような目的・効果に着目したものと考えられております。

  1. 種々の仕事を経験させ、それぞれに必要な知識・技術・技能を習得するとともに総合的な調整力や判断力を形成させるなど社員の能力開発、人材育成を図ることができること。
  2. 同じ仕事に永年携わることによるマンネリ化を防止することができること。
  3. 同じメンバーで仕事することによる職場の雰囲気の停滞を変えることができること。
  4. 同じ部門に所属していることにより発生する部門間のセクショナリズムを排除し易くなること。
  5. 余剰人員が発生した部門の人員を解雇することなく他の部門に吸収させるなど景気変動等会社を取り巻く環境変化に適切に対応することができること。

 なお、近年、いわゆる「リストラ」と呼ばれる人員整理の一手法は、本来の目的・効果とは少し異なります。このような目的・ 効果を持った配置転換は、形態としては、一般に次のようなものが行われています。

  1. 距離的な視点では、同一事業所内・近距離の事業所間・遠隔地の事業所間の配置転換
  2. 仕事の内容では、同一職種間・類似職種間・まったくの異職種間の配置転換
  3. 子会社・関連会社への異動等いわゆる「出向」とよばれる配置転換

 

 

<POINT2.配置転換を円滑に行うための留意点>

 配置転換に関しては、その適・不適についてこれまで多くの裁判例が蓄積されており、この判示している内容から、円滑な配置転換の方法を学び取ることができます。

 配置転換の適・不適について、最高裁判所は次のように判示(東亜ペイント事件)をしており、以下の1.~3.のような事情の下では、会社は、労働者の個別的な同意を得ることなく、勤務場所を変更し得る権限を持ちます。

  1. 労働協約・就業規則に、 「業務上の都合により、転勤を命じることができる」旨の定めがある。
  2. 現に、転勤を頻繁に行ってきた。
  3. 労働契約の締結時に勤務地を限定するとの特約はなかった。

 一方、上記の権限行使は、以下の1.~3.の事情の下では適切だった。

  1. 業務上の必要があったが、 業務上の必要性については、労働力の適正配置等一般的な必要性で足りる。
  2. しかし、特に転居をともなう転勤は、労働者の生活に少なからぬ影響を与えることから、転勤命令権は無制約に行使できるものではなく、濫用は許されない。
  3. 業務上の必要性がない、あっても他の不当な動機・目的に基づくもの、労働者に通常甘受すべき程度を著しくこえる不利益を負わせるもの等特段の事情が存在しないかぎり、権利の濫用にはならない。

 以上のような判示内容を参考として、今後、円滑な配置転換を行いうるようにするためにはどのような対応が必要かについて、順次確認します。

 

(1)就業規則等で明記すること

 労働契約は、一般に、締結することによって、労働者の労働力の利用を包括的に使用者に委ねるものと解されています。

 しかしながら、配置転換条項が含まれているならまだしも、含まれていない場合が多く、労働契約だけで配置転換をできるものとは考えられていません。

 会社が、従業員に配置転換を命じる場合には、就業規則に「会社は業務の運営上必要がある場合には従業員に転勤を命じあるいは職場又は職種の変更を命じることがある」旨の配転規定をもうけておけば、一般に配置転換を行うことができると解されており、配置転換のためには、まず、就業規則に配転規定をもうけておくことが欠かせません。

 また、労働組合があり、労働組合との間で配置転換に関する協約が締結されることは、より円滑な配転を促進するものと考えられます。

 なお、何らかの事情により配転をしてなくても、労働者の合意が得られれば配置転換は可能ですし、また、合意が得られない場合であっても、その配置転換が、法令や労働協約・就業規則に抵触せず、権利の濫用や信義則違反、不当労働行為に該当するなどの特別な事情がないかぎり配置転換を行うことは可能とされる場合もあります。

 しかし、円滑に配置転換を行うという観点からすると、やはり、就業規則に配転について規定しておくことが良いと考えます。

 

(2)労働契約に特約がないこと

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 就業規則に配転規定を定めたからといって、この配転規定のみを根拠に、会社の都合だけで、「何時」、「如何なる場合」、「如何なる配置転換」でも可能と考えるのは、現代では少なくなりました。すなわち、入社時の労働契約において、職種を「プログラマー」や「旋盤工」というように特定した場合には、これを一方的に変更することはできません。職種を変更しようとするときには改めて労働者の同意を得なければならない、といった考えが少なくありません。

 また、採用条件が、看護師や無線技術者等一定の資格あるいは技術を持っていることに限定されていた場合には、労働契約において職種の特定をしなくても採用に際し職種が特定されていたものとし、以後の職種の変更には労働者の同意が必要になるものと考えられております。

 なお、上記いずれの場合にも、労働者の合意が得られなければ、絶対に配置転換が行えないというものではなく、就業規則上の一般原則としての配転規定を適用し、極めて限定的な条件の下で配置転換を行うことができるとの考え方もあります

 ところで、一般的に、有資格者や技術者等の専門職種に携わる人達は、その資格や技術が活かせる場所で就労してはじめてその専門的な能力を発揮できるものと考えられます。しかし、そのような専門職種の人達まで一般の職員と同様に多能化しようとすることには無理があり、多能化には類似職種に限るなど、おのずと限度があります。したがって、専門職種従事者についても、あえて配置転換により多能化しようとするのであれば、契約に、或いは就業規則上、一定の範囲内で配置転換を行う場合があることを明記しておく必要があるものと考えられます。

 ただ、この様な特約条項を付けた場合、専門職種従事者との間で労働由契約を結ぶことが困難になる可能性が高くなる場合もあると考えられます

 

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 入社時の労働契約において、勤務場所を一定の事業場に特定した場合には、これを一方的に変更することはできません。勤務場所を変更しようとするときには改めて労働者の同意を得なければならなくなります

 したがって、円滑な配置転換を行おうとするのであれば、勤務地を限定する労働契約を結ばないか、結んだ場合には条件整備等を行い労働者の了解を得るための努力をする必要があることとなります。

 一般に、アルバイトや臨時工といわれる労働者の場合には、その働く職場を限定して採用される場合が多いと考えられます。

 一方、多の事業場を有する企業の一般の従業員の場合には勤務する場所を限定して採用されることは少ないと考えられますので、会社は、業務上の必要性があるなど合理的な範囲内であれば、従業員を他の職場へ転勤させることができます。

 ところで、労働基準法第15条第1項および労働基準法施行規則第5条第1項・第3項において、使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間とともに、「就業の場所及び従事すべき業務に関する事項」を書面の交付により明示しなければならない旨規定されていますが、これらの規定は、上記の勤務地限定や職種限定という労働契約の特約にあたるものではなく、 就業後の労働条件が明確でないことを原因とする紛争になることを防止する趣旨から、労働契約とは別に、立法政策として労働基準法によって使用者に労働条件の明示義務が課されているものです。

 

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 ここで、職種限定などについての「特約」が労働契約に明確な定めがない場合の配転命令等の効力についていくつかの裁判例を見て合みますと、長期間にわたり同一の業務あるいは同一の事業場で業務に従事したからといって、それだけで職種限定の特約があったと認められるわけではない旨判示したもの(武田薬品工業事件[大阪地決S51.2.7])、日産自動車村山工場事件[最判H1.12.7])、民間放送局のアナウンサーについて、採用時には特殊な技能は要求されておらず、採用後も当該会社では配転の対象となっていたことなどから、労働契約上アナウンサーとして職種が限定されていないとして他部署への異動命令を有効としたもの(高知放送局事件[最判H10.9.10])などがあります。

 なお、諸要素を勘案し、命じられた特定の業務以外の業務への配転も認められるべきである旨を判示した最高裁判決があり(片山組事件[最判H10.4.9])、ここでは、要旨、労働者が業務内容等を特定せずに労働契約を締結した場合、私傷病により、現に就業を命じられまた特定の業務についての労務の提供が十全にはできないとしても、その能力、経験、地位、当該企業の規模、業種、当該企業における労働者の配置・異動の実情および難易度等に照らして当該労働者が配置される現実可能性があると認められる他の業務について、労務の提供が可能であり、かつその提供を申し出ているならば、なお債務の本旨に従った履行の提供があると解すべき、として特定した職種に就かせられないとして発した自宅待機命令を適法とした原判決を破棄していますので、実務上、この判決にも注目しておくべきと考えます。

 一方、職種・勤務地限定で採用された者に対する職種廃止を理由にした他職種への異動命令について、このような場合に労働者の個別の同意がない以上他職種への配転を命ずることができないとすることはあまりに非現実的であり、採用経緯と当該職種の内容、使用者における職種変更の必要性の有無およびその程度、変更後の業務内容の相当性、他職種への配転による労働者の不利益の有無および程度、それを補うだけの代替措置または労働条件の改善の有無等を考慮し、その配転命令について正当な理由があると特段の事情があると認められる場合には、その配転を有効と認めるのが相当である旨判示したもの(東京海上日動火災保険事件[東京地判H19.3.26])があります。

 これらの裁判例から考えると、一般には、前述のとおり、職種限定をしないで採用された一般従業員の場合には、将来どの職場でどのような仕事に就くかは会社に一任されているという暗黙の合合意がなされており、会社は、就業規則の配転規定などに基づき合理的な範囲内でそれらを命じることができると解されるでしょうし、例外的でしょうが、仮に特約がある場合においても、上記の東京海上日動火災保険判決で示されているような特段の事情が認められるときの配転等は有効とされる場合があるといえる、と考えます。

 

(3)配置転換の実績があること

 最初から実績があるわけではありませんので、初めての場合にはより慎重に行う必要があります。

 しかし、一定の実績が積まれた後においては、問題となる配置転換と同程度の配置転換の実績の有無が、比較考慮され、適法か否かの判断基準の一つとなることがあるので、配置転換を考えるときには過去の実績を考慮に入れて判断すべきと考えます。

 

(4)業務上の必要性に基づくものであること

 業務上の必要性に基づくものであったかどうかは、労働力の適正配置等一般的な必要性が認められれば足りると考えられています。

 すなわち、配置転換の対象となった者でなければ余人をもって変え難いとの高度な必要性でなくても、前述の配置転換の目的・効果にあるように、労働力の適正配置・業務の能率増進・労働者の能力開発・勤労意欲の高揚業務運営の円滑化など企業の合理的な運営に寄与することが認められれば、業務上の必要性があるものと考えられています。

 このような観点からしますと、円滑な配置転換を行おうとする場合には、どのような目的・効果を期待して行うのかとの位置づけを明確にしておくことが必要と考えます。

 また、会社として期待する配置転換の一般的な目的・効果を、あらかじめ従業員に知らしめておくことも有効な方法と考えます。

 

(5)不当な目的・動機等がないこと

 業務上の必要性の有無に拘らず、その配置転換が法令に反するなど不当な目的や動機に基づくものである場合には、その配置転換命令の効力がなくなるばかりか、その後における円滑な配置転換が困難になる等、労務管理上に禍根を残すことが考えられます。

 なお、法令等による規制としては、後述の「実定法上の制約への留意点」にて触れておりますのでそちらにてご確認ください。

 

(6)配置転換による不利益の程度

 配置転換、特に転居のともなう場合や単身赴任にならざるをえない場合には、労働者とその家族の経済的あるいは肉体的・精神的な負担には大きなものがあります。このため、配置転換の業務上の必要性とこれにともなう労働者の負担が比較考慮され、「通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるかどうか」が、それぞれの事案の内容に応じて判断されることとなります。

 前述の東亜ペイント事件判決の場合には、母が高齢であり、また妻が共稼ぎであり、子どもが幼少であって単身赴任をせざるをえない状況でありましたが、その不利益は「通常甘受すべき程度のもの」と判断し、労働者にとってはやや厳しい印象を受ける内容となっています。

 しかしながら、転居や単身赴任には、大小の差があるものの経済的・精神的な一定の負担がともなうのは事実です。

 また、会社に単身赴任にともなう労働者の不利益を軽減・回避するための措置を取るよう配慮する義務を認めた事例もあらわれており(帝国臓器製薬事件)、さらに国際的にみれば、「家族的責任を有する労働者条約」の「勧告(20)」でも、「転居を伴う配置転換の場合には、家族的責任、配偶者の就業場所、子どもを教育する可能性に配慮すべき」としています。

 これらのことからすれば、今後、円滑な配置転換を行おうとする場合には、転勤をともなう配置転換、特に単身赴任の場合には、労働者の不利益や負担を軽減するための援助措置を講じる必要がでてくるものと思われます。

 

 

<POINT3.実定法上の制約への留意点>

 これまでは、配転・転勤をめぐりもっぱら民事(民法)上の留意点などを述べてきました。

 最後に、配転・転勤を含め、人事異動において留意すべき実定法(特に罰則付きの強制法規)上の制約(規制)について、ここでまとめて、その概要に触れます。

 

(1)労働基準法関係

  • 同法第3条により、国籍や思想・信条、社会的身分等を理由として差別的取り扱いはしてはならないこと(均等待遇)。
  • 同法第104条により、労働者が労働基準監督署へ企業の労基法違反を申告したことを理由に報復的な不利益取扱いをしてはならないこと。

(2)個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律関係

  • 同法第4条第3項により、労働者が同法に基づく紛争の解決の援助を労働局に求めたことを理由とする報復的な解雇その他の不利益取扱いをしてはならないこと。

(3)労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律関係

  • 同法第49条の3により、派遣労働者が派遣元または派遣先の事業場に同法違反があることを厚生労働大臣(労働局)に申告をしたことを理由に報復的な解雇その他の不利益取扱いをしてはならないこと。

(4)公益通報者保護法関係

  • 法第5条第1項により、労働者が労務提供先の事業者、その役員、労働者、代理人その他の者について通報の対象となる法令違反が生じている旨などを通報した場合に、そのことを理由に報復的に降格減給その他不利益な取扱いをしてはならないこと。
  • なお、同法については、関係指針とともに、令和4年6月から、内部通報者探しを企業に禁止するなど通報者保護が強化されるので注意する必要があること。

(5)雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律関係

  • 同法第6条により、配置、昇進、降格等について性別を理由とする差別的取扱いが禁止されていること。
  • 関係指針により、異動にあたっての条件を男女で異にすることが禁止されていること。
  • 同法第7条により、転居を伴う転勤に応じられることを採用条件としたり、転勤経験を昇進条件とすることは、それらが業務遂行に必要と認められない場合は間接差別として違法とされること
  • 同法第9条第3項により、労働基準法上の各種の母性保護措置、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律上の妊娠中・出産後の健康管理措置を申し出たり、受けたことなどを理由とする不利益取扱いを禁止していること。

(6)育児休業・介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律関係

  • 同法第10条、第16条により、労働者が育児休業・介護休業を申し出たこ龍とや休業を取得したことを理由として解雇その他の不利益取扱いを禁止していること(同法に基づく「育児・介護休業法指針」では、不利益取扱いの対象事例として、人事上の降格や不利益な配置変更等を挙げていること)
  • 同法第16条の4、同法第16条の7により、同法で認められた子の看護休暇駅(小学校に上がる前までの子どもの世話をするための休暇)、介護休暇(要介護状態の対象家族の介護のための休暇)の申し出や取得を理由とした不利益取扱いも同様に禁止していること
  • 同法第16条の9、同法第23条の2により、同法で認められた労働者が働きながら育児との両立が容易となるための所定労働時間を超える労働の制限(免除)および所定労働時間を1日6時間(原則)に短縮する措置の導入が義務づけられている中で、3歳に満たない子を養育する男女労働者がこれらの措置を申し出たことやそれを受けたことを理由とした不利益取扱いも、同様に禁止されていること。
  • 同法第26条により、雇用労働者の配置の変更で就業の場所の変更により就業しつつその子の養育または家族の介護を行うことが困難となる者がいるときは、当該労働者のそれら養育・介護の状況を配慮しなければならないとしていること。

(7)民法関係

  • 民法第1条第3項により、権利の濫用(何が権利の濫用となるか否かは、その人事が業務上の必要性があるか、 人選が合理的になされたか、手続が妥当であったか、労務管理上の配慮がなされたなどが考慮されること)となるものであってはならない旨定めていること。
  • 民法第90条により、この項であげてい実定法に違反したり、不当な動機や目的などをもって行われた場合は公序良俗違反として無効となること。
  • 民法第625条第1項は、使用者は労働者の承諾を得なければその権利を第三者に譲り渡すことができない旨定めていることにも留意すべきであること。

(8)労働契約法関係

  • 労働契約法第3条第5項により、労働契約に基づく権利の行使は上記(7)にいう権利の濫用となるものであってはならない旨定めていること。
  • 出向については、労働契約法第14条により、出向を命ずることができる場合において、当該命令が、その必要性、対象労働者の選定にかかる事情その他の事情に照らしてその権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は無効としていること。

(9)労働組合法関係

  • 不当労働行為を禁じた労働組合法第7条第1項により、労働者が労働組合員であることなどや、組合の役員・活動家に対する正当な組合活動や争議行為を行ったことを理由とした不利益取扱いが禁止されていること、また、組合活動の弱体化などを目的にその中心的な人物を異動させることは活動に対する支配介入として原状復帰が命じられること。

当記事作成日時点での法令に基づく内容となっております

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≪参考となる法令・通達など≫

□労働基準法:3条、15条、104条

□労働者派遣法:49条の3

□労働契約法:3条、14条

□労働組合法:7条

□均等法:6条、7条、9条

□育児・介護休業法:10条、16条、16条の4、16条の7、16条の9、23条の2、26条

□民法:1条、90条、625条、平18.10.11厚労告614

□家族的責任を有する労働者条約:平7.6.12、条約10

 

≪参考となる判例≫

□武田藥品工業事件[大阪地決S51.2.7]

□東亜ペイント事件[最判S61.7.14]

□日産自動車村山工場事件[最判H1.12.7]

□帝国臟器製薬事件[東京地判H5.9.29](最判H11.9.17も、これも支持)

□片山組事件[最判H10.4.9]

□高知放送局事件[最判H1.9.10]

□東京海上日動火災保険事件[東京地判H19.3.26]